★増渕洋一郎さん★(H25・3月号)

今回かーこがインタビューに向かったのは、戸田市障害者福祉会館です。増渕さんはこの会館の中にある、心身障害者福祉センターで勤務されています。

 増渕さんは、大学では経済学を専攻。ゼミで、「アジア・アフリカの貧困問題」を学んだことがきっかけとなり、福祉の仕事がしてみたい、と社会福祉協議会に入りました。そして、何か所かの異動を経て平成17年からこちらで働いています。

 さて、ここに着任した当時は、障害者の方に書道や陶芸などの教室はあったそうですが、運動をする事業は何もなかったそうです。平成20年、増渕さんは継続して定期的に開催する運動の教室を作ろうと考えました。でもどうやってやったらいいのか、具体的なところがわからず考えあぐねていました。

そこで増渕さんは障害者交流センターに相談しました。そして交流センターが、障害者スポーツとその指導のノウハウや職員の派遣を3年の期間で提供するという「地域支援事業」をしていることを知りました。そして同時に、継続して定期的に事業を続けるには地元の人の協力が必要だということもアドバイスされたそうです。

 そして増渕さんは、戸田市スポーツ推進委員(旧体育指導員)の当時の会長さんにお願いに行きました。その時会長さんが言われた言葉は次のようでした。「健常者だけでなく障害者の人たちも同じようにスポーツをする権利があります。行政委員の私たちは障害者も含め広く活動をしていかなければいけないと思っています。」と。

 こうして、増渕さんの願いが実現しました。平成21年度から月に1度、障がい者の運動教室が始まりました。1回に7~8人の受講者に対して、交流センターの職員1人、スポーツ推進委員さんが3人、そして増渕さんの5人体制で開催されました。当初書道や陶芸に来ていた障害者の方々に運動教室にも来ませんか?とお誘いしたそうですが、実際に参加された方は、今までこの施設を利用していなかった新しい利用者さんでした。増渕さんは「障害のある方でも意欲的に体を動かしたい方たちはいるんだな」とそのとき改めて強く感じたそうです。

翌平成22年には戸田市で、障がい者スポーツ指導者初級の講習会が開催され、会長さんの意欲的な取り組みのもと、当時のスポーツ推進委員さんから7名の方が資格を取得しました。 平成23年度で交流センターの支援事業は終わりになりましたが、現在でも月に1度の教室では、スポーツ推進委員さんが交代でスタッフとして参加し運営しています。また平成23年度から始まったボッチャ教室やフライングディスク教室は、スポーツ推進委員のOB(戸田市ではスポーツ推進委員さんは原則10年任期)でかつ障害者スポーツ指導員の資格を持っている方々が中心となって開催しています。

 参加者の方の中には聴覚障がい者の方もいらっしゃるそうです。手話通訳の方を通してみなさんとおしゃべりしたり、交流したりしている姿をみると、増渕さんはこういう場の必要性を感じずにはいられません。そして、スポーツ推進委員(健常者)や障害のある方が一緒にスポーツを通じて交流し、楽しめることがこの教室のいいところではないかなと思うそうです。

 「これからもずっと継続して定期的に開催していってほしいです。そのためには、スポーツ推進委員さんたちとの協働は欠かせないと感じています。主催者側のこちらの配慮や努力も必要だと思います。」と語る増渕さん。

今後、ここを異動になっても、障がい者スポーツ指導員としてこの教室にはお手伝いとして関わっていきたいそうです。また、交流センターでのわいわい大会のお手伝いも続けていき、体験したことを地域に反映させていきたいとお話してくださいました。

最後に笑顔のお写真を!とお願いしたところ、こんなに満面の笑みでお応えいただきました!!増渕さん、本当にありがとうございました。